京都の粋が育んだ味わい〜京都のおばんざいシリーズ京多福と九条葱

京都の粋が育んだ味わい

 

おばんざいとは京都の商家などに伝えられてきた料理の総称です。漢字では「お香菜」と書き、この「番」には「普段の」という意味があります。つまり、おばんざいは格別なご馳走ではなく、日常的に食するおかずといった位置づけになります。


食材の中心は塩干物や乾物漬物、湯葉や豆腐などであり、昆布や鰹節の出汁の旨味を活かした調味に特徴があります。内陸に位置する京都では、新鮮な魚介が入手しにくかったためにこのような工夫がされてきました。

その味わいは華やいだものではなく、むしろ落ち着きと癒しを感じるもの。長い年月の中で洗練されてきた京都の粋が 光ります。

 

 

おばんざいを通して触れる京の美意識


京都には「始末する」という言い回しがあります。これは一般 的な意味合いでの「 片づける」や「締めくくる」とは異なっ たニュアンスで用いられます。

京都の「始末する」は浪費を戒め慎ましやかに振る舞うことで、この暮らしの心得はおばんざいにも息づいています。 京の町衆 は食材を無駄なく使い切ることを美学とし、ひとつの材料から数通りの惣菜を作ることでその調理法を発展させてきました。

一見、飾り気のないおばんざいにはそのような美意識が秘められており、そこには味わう人たちへの細やかな思いも込めら れています。

 

京都伝統野菜 九条葱


平安の昔から受け継がれてきた京野菜の代表格。柔らかな葉には舌ざわりの良いぬめりがあり、甘みと香りに優れます。

 

京野菜とは


ひと口に「京野菜」と呼ばれますが、その定義は多少複雑です。大括りには京の伝統野菜35品目、京のブランド産品31品目、その他絶滅したものや伝統野菜に準ずるものなどが含まれます。いずれにも共通して言えるのは、京都の良質な土地・気候で育った野菜のことで、他の地の野菜とは異なる特徴を持つものが多くあります。

特に京の伝統野菜は、その要件に「明治時代以前に導入されたもの」があり、これは西洋野菜との掛け合わせが行われていない土着の品種であることを意味します。いわば原種に近いものであり、それゆえに鮮烈な風味 が残されています。

 

葉を味わう九条葱

葱は古くから日本で親しまれてきた野菜で、720年に完成した日本最古の歴史書「日本書紀」にもその名 が見られます。関東では主に白い部分を食用にする根深葱、関西では緑色の部分を食べる葉葱が一般的で、 京都で古くから栽培されてきた九条葱はもちろん後者にあたります。

主産地が京都市南区九条地区であったことからその名で呼ばれ、現在では八幡市・京都市・南丹市・京丹後市などで広範に栽培されるようになっています。

 

味わってよし、身体によし

その葉は柔らかく、噛めば甘みと香りとともにぬめりが口中を覆います。薬味、鍋物、煮物、炒め物、汁物などにも幅広く使われていて、葱は疲労回復や解熱、鎮咳などの民間療法に使われてきたように栄養豊富です。 青い部分には各種のビタミンが多く含まれます。

さらに血圧低下につながるカリウムも含まれ、健康維持には 欠かせない食材と言えます。白い部分に含まれるアリシンは葱の香りと辛味のもととなっている栄養素ですが、これは消化液の分泌を促進し、食欲や消化系器官の働きを高めるとされています。
味わってよし、食べて身体によしの九条葱をぜひご賞味ください。

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